今回は前回の続きで歯並びと粘膜(舌など)についてです。
<歯ならび・癖>
Q5.
歯が足りないといわれました。
どうすればいいでしょうか?
Ans.
特に下の前歯が足りないことが多いようです。
先天欠如といってもともと歯がつくられないこともあれば、癒合歯といって2本分の歯がくっついて生えてくることもあります。
乳歯が足りないからといって、永久歯も足らないとは限りません。
乳歯のときは経過をみて、永久歯に生え代わる頃に、顎全体が写るレントゲン写真を撮って確認しましょう。
そのとき、永久歯の数などの詳細がわかりますから将来の歯並び・咬み合わせについて相談します。
癒合歯で歯と歯がくっついた部分がくぼんでいる場合は、汚れが溜まりやすくむし歯のリスクが高いので、歯みがきに気を付けましょう。
Q6.
私は歯ならびが悪いのですが、子どもも将来悪くなりますか?
もし、悪くなるなら何に気をつけたらよいですか?
Ans.
歯ならびやかみ合わせが悪くなるのは4つの要因があります。
1, 乳歯をむし歯などで早く失い永久歯の生える場所がなくなるため
2, 歯と顎の骨の大きさのバランスが悪く永久歯の生える場所がないため歯や顎の大きさは遺伝もありますが、良くかまない、または硬いものを食べないことにより十分顎が発達しないことも関係あります。
3, 出っ歯や受け口(反対咬合)の中には純粋に遺伝的な問題が要因のこともあります。
4, おしゃぶり、指しゃぶりなどの癖、舌の前方突出癖や口呼吸、頬杖、うつ伏せ寝などの生活習慣も関係します。
最近では、永久歯の歯並びが悪くならないように、乳歯の時期から簡単な装置を利用した方がよい場合もあります。
最良のタイミングで治療ができるように、定期的に経過をみていきましょう。
Q7.
おしゃぶりはいつごろまで使っていてもいいのでしょう?
Ans.
おしゃぶりは、泣いている赤ちゃんを鎮めるのに便利なアイテムであり、育児で大変なお母さんにはお助けグッズでもあるでしょう。
「吸う」ことが自然な乳児期には、口の機能や形態に問題は生じません。
でも、離乳が完了して口の働きが「吸う」ことから「かむ」ことへと移行してくると、おしゃぶりもそろそろ卒業の時期を迎えます。
2歳を過ぎて奥歯のかみ合わせができた後もおしゃぶりの使用が続くと、歯ならび・かみ合わせに影響を及ぼしやすくなり、また唇の閉じ方や舌の使い方にも問題が生じやすくなります。
乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃からやめる準備を始めて、2歳過ぎまでにはやめられるといいですね。
<軟組織・全身疾患>
Q1.
舌が短いような気がしますが、授乳には特に支障をきたしていません。
将来咀嚼発音等何か心配ないでしょうか?
Ans.
舌の裏側のすじ(舌小帯)が短く、舌の運動範囲が狭い(少ない)場合、舌小帯短縮症といいます。
授乳に際して母親にも子どもにも特に支障をきたすことなく、さらに、母親に乳腺炎がみられたり、子どもの体重が増加しないということがなければ経過を観察するだけで良いでしょう。
ただし、3歳すぎて、食べ物をよくこぼす、食べ方や発音が気になる場合はご相談ください。
Q2.
上唇の裏側のすじが前歯のすぐ近くまで伸び、前歯にすきまがあります。
また歯磨きもいやがりますがどうしたらよいでしょうか?
Ans.
上唇を上に引っ張ったとき、唇の裏側の粘膜のすじのことを上唇小帯といいます。
上の前歯が生えてくると多くの子どもで歯と歯の間にすき間があり、上唇小帯も前歯のすき間近くまで伸びていることがしばしばありますが、心配せずに経過をみてもいいでしょう。
歯みがきに関しては、すじに直接歯ブラシを当てると痛がり、歯ブラシを嫌がるようになります。保護者の指でしっかりと上唇をめくり、小帯(すじ)が見えるようにします。
その後、すじをさけて一本ずつ磨くようにします。または仕上げみがきの際に保護者の人差し指などで上唇小帯のところを押さえて、歯ブラシで傷つけないようにして歯みがきをします。
一般的には、上唇小帯はあごの成長とともに歯から離れて上のほうに位置していきます。
大人の前歯が生えてきても上唇小帯が裏側(口蓋側)まで太く長く伸びていて、前歯にすき間が残っていれば切除を検討することになります。